記録することに徹する

記録することに徹する

先週は、急な夕立に見舞われ暑い暑い空気の中「くるみ割り人形全幕」の撮影でした。

久しぶりのくるみ全幕撮影は、わかっていても「さて次は!次は!」といちいち頭にある記憶を確認をしながら、目の前の出来事を「忠実に記録する」ことに徹した2時間でした。

「抜粋」で、2幕のみを撮ることが多いのですが、先日はクリスマスの夜からコロンビーヌのシーンからネズミさん兵隊さん、と賑やかに過ぎていき。
ひゅう!っと「雪」のシーンに変わる、1幕からの全幕撮影でした。
(舞台転換が忙しく設定もあたふた!)

なんともレベルの高い「雪の精たち」が、所狭しと踊ります。
その日は私は主に個人抜きの撮影をしていたので目に飛び込んできた美しい瞬間を、どんどこどんどこ、と撮り続けました。
縦のフレーミングで見ているので、その四角の中へ気持ちよさそうに踊る雪の精が、次から次へと「撮って!撮って!撮って!」と飛び込んでくるかのような錯覚。
その飛び込み方が、みんなとっても美しすぎて。
そして、なんといってもスピード感が素晴らしいのです。
重さのない軽く軽く、ヒョイヒョイ、と抜けていきます。
視覚にだけ命があるような数分で、気持ちが帰ってきた時にはやっとクララが出てきてくれました。
忙しい忙しい、意識遠のいた数分。。

いつも思うことはどのシーンも「無条件に美しい」と思うのです。
真っ白のチュチュにシルバーで刺繍された衣装や、女王がつけるひときわ大きなティアラ。
ちょっと危ないけど、キラキラとたくさんの雪が降り続けます。
その中を、淡いピンクサテン地のポワントで、まさに妖精のように踊るのです。
それに感動をしないことは全くないでしょう!
(1幕を撮り終えて、口にした言葉は「ほんと、撮らずに見ていたいよね。。」とカメラマンとして大失格の一言。。すみません。)

今日、カメラのメンテナンスに行き、「舞台写真家の現在」という
セミナーのチラシを見つけました。
バレエではないのですが、演劇の方の舞台写真家、谷古宇正彦さんのコメントからちょっと抜粋して

『舞台を写真で記録することが第一の役割である。主観を交えず記録することに
徹して撮る。その上で、自分の視点から作品として撮る。この二つが私の両論になっている。』

「記録」なんです。
生徒さんたちの練習の成果の。指導にあたった先生の演出や構成や振り付けの。
カメラマンは、それを丁寧に忠実に記録するだけ。それが役割だと。
シビアで厳しい一言ですが、それはカメラマンが絶対にしなくてはならない小さいけれども大事な役割。
早かろうと忙しかろうと、漏れることなく撮らなくては役割を全うできてないことになってしまうのです。
そのくらいの気持ちで、必死で撮らなくては、と。

明日明後日と、夏のシーズン、まだまだ撮影が続きます。
一つ一つを大切に、(ちょっと楽しんで)自分の役割に徹してきたいと思います。

*発表会の贈り物に、くるみ割り人形のアイシングクッキーを注文しました。
さて出来上がりはいかがかしら❤︎**

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